会社のしくみは変えられますか? 鈴木 貴博 ダイヤモンド社 2005-10-28 |
企業のIT導入に関する内容かと思いきや、大企業の今後のあり方について興味深く書かれている。
漠然と思っていた「大企業は有利」といことは、実は「取引コストが下がる」ことが要因としてあった。組織がだんだん大きくなると逆に「取引コスト」は上がってしまう。形骸化して時間を浪費している決裁フローなどはその例だと思った。
ITが進み、小規模でも「取引コスト」が下がった今では大企業は何を強みとすればよいのだろう。自分も大企業の社員だが、再考する必要がを強く感じた。
また、他社との協業が不可欠と書かれていたが、ここ数年自分自身も模索している。まず、自社の強み(特に技術やシェア)を相手が望んでいることが第一であり、資金力等ではもっと資金力がある第3者が出てきた場合、とたんに関係が崩れてしまう。相手にとってオンリーワンになるにはどうしたらよいか自社の価値を高めるために十分な戦略を練る必要がある。
その他、面白いと思った点
(1)IT投資には「汎用品IT投資」と「差異化IT投資」に分類して投資する必要がある。
(2)松・竹・梅で「竹」が一番利益率が高い。
(3)発注力(安くものを仕入れる関係・投資どころを決める)を高める
(4)IT化は他社との差別化ではなく、他社もIT化しているのでIT化しても何ら他社の差は広がらない。(ITのコモデティ化)
(5)サーバント・リーダシップ(リーダーが部下をクライアントとして扱うことが最大のアウトプットとなる。)
等々、なかなか参考になる本だった。
前著「誰も語らなかったIT 9つの秘密」
(山本 修一郎 鈴木 貴博 浜口 友一)も読みたくなった。