![]() | 社員力―ITに何がたりなかったか 浜口 友一 ダイヤモンド社 2007-03-16 売り上げランキング : 2246 Amazonで詳しく見る |
大手IT企業の社長が書いたIT投資とその効果について考える第三弾になる。SEの端くれとして、システムを導入するだけでその会社に変革がおき、業績が上がるほど、システムは魔法の杖ではないことは十分わかっているが、システムで生業を立てている会社のトップがシステムではなく、結局のところ人「社員」と提唱するのは珍しいのではないか。システムは泥臭い日常の業務を知らないと構築できないし、現場の人間がうまくシステムを使えないとなんら効果があがらないのは古くから業界の常識であったのは確かだ。
とりあえず高いシステムを導入すれば革新がおきるという信仰が、長い不景気を通して投資対効果という評価軸が使われはじめて、企業はシステム投資に疑問を持ち始めたのも事実であろう。
本書は、システム開発現場の経験を通して書かれているが、広い意味で企業人について語られている。以下、なるほどと思った点と感想を上げる。
1.管理職はマネージャではなくリーダーでなくてはならない。→単に業績を管理する人はマネージャであり、自ら変革を成し遂げる力量ある人がリーダーであり経営者である。日常業務でプロジェクトマネージャとしてただ管理の精度だけ上げようといてないか?
2.戦う管理職が少なくなった
→お客様のためを思えば、お客様と喧嘩が必要なときがある。プロジェクトを正しい方向に導く場合も戦う必要がでてくる。管理職に多い事なかれ主義、出世主義、責任転嫁主義等々。部下から見ると人間が小さく見えて、ついて行こう、一緒に困難を乗り越えようとは思わない。
3.若手・中堅社員である一番の戦力が教育されていない。
→要は管理職の手抜きですね。自分が楽になるので、それに甘えている。
等々、結構現場の状況と問題点はトップはわかっているんですね。どの企業もそうなのかもしれませんが、中間管理職が一番の悪なのかもしれません。本当に必要な人が評価されてないんでしょうね。